年初来上昇で悩む人へ|株の売り時を迷わない3ステップ

投資戦略

この記事では、プロが使うリバランスの発想を噛み砕き、基準額に対する「±20%ルール」で増えた分だけ売る具体手順をわかりやすく解説します。

「売る=撤退ではない」と考え、増えた分だけ整えて利益を確保しつつ市場に席を残す実践法を提示します。

投資は最終的にご自身の判断で行う必要があり、個別銘柄の断定的な推奨は行いません

株の売り時は予想しない、シンプルな「ルール」作りが成功の鍵

投資で利益を出すこと以上に難しいのが、実は「いつ売るか」という判断です。

一番重要なのは、相場を予想するのではなく、自分だけの売却ルールを持つことです。

人は利益が出ると冷静な判断ができなくなるものです(なぜ利益が出ると判断が難しくなるのか)。

だからこそ、感情に振り回されないための投資ルールが重要になります。

そして、そのルールは「全部売るか、持ち続けるか」という二択ではなく、第三の選択肢を選ぶことで、より賢く資産と付き合えるようになります。

感情的な売買による後悔を避け、着実に資産を育てるためには、再現性のあるシンプルなルール作りが成功への第一歩となります。

なぜ利益が出ると判断が難しくなるのか

利益が出ている状況で判断が鈍るのは、「プロスペ告げ理論」という人間の心理的なクセが働くためです。

これは、「利益は早く確定させたい」という気持ちと、「もっと上がるかもしれない」という欲がぶつかり合い、合理的な判断を妨げる心の動きを指します。

例えば、含み益が20万円出ていると、「この20万円を失いたくない」という損失回避の気持ちと、「まだ伸びて30万円になるかもしれない」という期待感が衝突します。

この心理状態では、明確な根拠なく売買してしまい、結果的に後悔しやすくなるのです。

このように、利益が出ている時こそ、私たちの心は冷静さを失いやすいため、あらかじめ決めた客観的な基準が必要になります。

感情に左右されないための投資ルールの重要性

感情的な判断を避けるために最も効果的なのが、投資を始める前に「売り」のルールを決めておくことです。

ルールがあれば、市場が大きく動いても迷わずに行動できます。

例えば、「投資額が20%増えたら、増えた分だけ売る」というルールを設定します。

このルールがあるだけで、「もっと上がるかも」という欲や「下がるかも」という恐怖に振り回されず、機械的に利益を確定させることが可能になります。

プロの投資家が常に冷静なのは、相場を読んでいるからではなく、こうした厳格なルールを守っているからです。

投資ルールは、荒波の市場を航海するための羅針盤のようなものです。

この羅針盤があれば、一時的な感情の嵐に巻き込まれることなく、目的地に向かって着実に進めます。

「全部売るか・持ち続けるか」以外の第三の選択肢

投資初心者が陥りがちなのが、「利益が出たら全部売る」か「含み損になっても持ち続ける(ガチホ)」という極端な二択で考えてしまうことです。

しかし、もっと賢い第三の選択肢があります。

それが「増えた分だけを売る」という方法です。

例えば、100万円の投資が120万円になった場合、増えた20万円分だけを売却します。

これにより、20万円の利益は確保しつつ、元本の100万円は投資を続けられるため、将来のさらなる値上がりの機会を逃しません。

この「調整する」という考え方を持つことで、「売った後に上がって後悔する」ことも、「持ち続けて利益を失う」こともなくなり、精神的に安定した状態で長期的な資産形成を続けられます。

年初来の日経平均上昇、今こそ考えたい利確のタイミング

年初から日経平均株価が大きく上昇し、NISAなどで投資を始めた方の多くが利益を手にしている状況です。

このような時に最も重要なのは、感情に流されずに利益を確定させるタイミングを考えることになります。

含み益が増えるほど、「もっと上がるかも」という期待感や、「売った後に急騰したらどうしよう」という恐怖など、さまざまな感情が判断を鈍らせてしまいます。

ここでは、多くの投資家が陥りがちな心理的な罠や、一見好調に見える上昇相場に潜む3つのリスクについて解説します。

これらのポイントを理解することで、冷静に自分の資産と向き合う準備が整います。

「もっと上がるかも」という期待感の罠

利益が出ている時に「もう少し待てば、もっと利益が増えるかもしれない」と感じるのは、ごく自然な感情です。

この心理はプロスペクト理論と呼ばれ、人は利益を得る喜びよりも損失を回避したい気持ちが強く働くため、確定した利益を失うことを恐れてしまう傾向にあります。

実際に、日経平均株価が史上最高値を更新した2024年初頭には、多くの人が「この上昇に乗り遅れたくない」という気持ちから、冷静な判断が難しい状況にありました。

しかし、このような期待感こそが、利益確定の最適なタイミングを逃す最大の原因となります。

天井で売ることは誰にもできないと理解し、過度な欲をコントロールすることが重要です。

「売った後の急騰」と「持ち続けた後の急落」への恐怖

投資における後悔には、大きく分けて2つのパターンがあります。

一つは売った後に株価がさらに上昇し、得られたはずの利益を逃すことへの後悔で、もう一つは売らずに持ち続けた結果、株価が下落して利益を失うことへの後悔です。

例えば、NISAで得た20万円の含み益を前に、「ここで売れば20万円は確実だが、もし30万円になったら10万円を取り逃した気分になる」「かといって持ち続けて10万円に減ったら、なぜあの時売らなかったのかと自分を責めるだろう」というジレンマに陥ります。

多くの初心者はこの2つの恐怖の間で思考が停止し、結果的に何も行動できなくなってしまうのです。

この「全部売るか、持ち続けるか」という二者択一の考え方から抜け出すことが、恐怖を乗り越える第一歩と言えます。

上昇相場に潜む3つのリスク(過熱感・材料出尽くし・急落)

好調な上昇相場は永遠には続きません。

むしろ、多くの人が楽観的になっている時ほど、注意すべきリスクが潜んでいます。

特にが知っておくべき3つのリスクを理解しておきましょう。

これらのリスクは、いつ、どのタイミングで表面化するかを正確に予測することは非常に困難です。

だからこそ、相場を予想して売買するのではなく、どのような状況になっても冷静に対応できる自分なりのルール作りが不可欠になります。

すぐ真似できる「増えた分だけ売る」リバランス投資法

投資で利益を出すために最も重要なのは、相場の予想ではなく、感情に左右されない明確なルールを持つことです。

相場が好調なときほど「もっと上がるかも」という欲が出て、売り時を逃しがちになります。

これから、資産のバランスを整えるリバランスの基本的な考え方をはじめ、誰でも今日から実践できる「±20%」ルールの具体的な設定方法、そしてなぜ全部売らないことが大切なのかを解説します。

このシンプルな方法を身につければ、もう株の売りで迷うことはなくなります。

資産のバランスを整えるリバランスの基本的な考え方

リバランスとは、あらかじめ決めた資産配分の比率が崩れた際に、元の比率に戻すように資産を売買して調整することを指します。

これは多くのプロ投資家も実践している、資産管理の基本的な手法です。

例えば、「株式50%:債券50%」という配分で100万円を運用していたとします。

株価が上昇して資産が「株式60万円:債券50万円」になった場合、増えた株式を10万円分売却して、その資金で債券を買い、元の50%:50%のバランスに戻します。

この行動により、価格が上がった資産を自動的に売って利益を確定させ、割安になった資産を買い増すという、理想的な投資が機械的に実行できます。

相場を当てようとするのではなく、決めたバランスを保つことに集中するのがリバランスの考え方です。

今日から使える「±20%」ルールの具体的な設定方法

専門的な資産配分のリバランスを、初心者の方がNISAなどで実践しやすいように簡単にしたのが「±20%」ルールです。

これは、ご自身の投資の「基準額」に対して、資産評価額が20%増えたら増えた分を売り、20%減ったら減った分を買い戻すという非常にシンプルなルールを指します。

例えば、日経平均に連動するインデックスファンドに100万円を投資している場合、この100万円があなたの「基準額」です。

この基準額を元に、売買のタイミングを以下のようにあらかじめ設定しておきましょう。

このように具体的な数字でルールを決めておけば、日々の株価の動きに一喜一憂する必要がなくなります。

感情を挟まず、冷静に「売る」「買う」の判断ができるようになります。

「全部売らない」ことが機会損失を防ぐ理由

この「±20%」ルールの最も重要なポイントは、利益が出ても資産をすべて売却せず、「増えた分だけ」を売ることです。

もし利益が出たタイミングで投資資産をすべて売ってしまうと、その後の相場がさらに上昇した際の恩恵を一切受けられなくなってしまいます。

例えば、2024年初頭からの日経平均株価の上昇局面を思い出してください。

もし株価が38,000円に到達した時点で「もう十分だ」と全ての投資信託を売却していたら、その後の40,000円を超える歴史的な上昇を取り逃がす結果となっていました。

このような、得られたはずの利益を逃してしまうことを「機会損失」と呼びます。

一部を利益確定して安心感を得つつも、常に市場に資産の一部を置いておくことで、長期的な資産成長のチャンスを逃さずに済むのです。

日経平均インデックスでの実践シミュレーション

それでは、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」のような日経平均インデックスファンドに100万円を投資した場合を例に、「±20%」ルールがどのように機能するのかをシミュレーションしてみましょう。

投資を開始してから相場が好調に推移し、あなたの資産の評価額が125万円になったとします。

この時点で、あらかじめ決めた「上限120万円」というルールが判断の基準になります。

このアクションにより、あなたは5万円の利益を現金として確実に手に入れることができます。

もしこの後、相場が下落に転じても、確保した5万円の利益が減ることはありません。

逆に相場がさらに上昇を続けたとしても、120万円分の資産は市場に残っているため、その後の成長の恩恵も受け続けられます。

暴落に備える分散投資とリスク管理の基本ルール

投資で長期的に成功するためには、相場が良い時だけでなく、暴落が起きた時にどう行動するかの戦略をあらかじめ決めておくことが重要です。

守りを固めることで、心に余裕が生まれ、冷静な判断を下せるようになります。

ここでは、資産を守るための「コア・サテライト戦略」、初心者が決めておくべき「5つの自己ルール」、そして「インデックス投資と個別株での損切りルールの違い」について詳しく解説します。

これらのルールを実践することで、市場の急な変動に動揺することなく、冷静に資産を守り育てていくことができます。

資産を守る「コア」と攻める「サテライト」の分け方

コア・サテライト戦略とは、資産を安定運用の「コア(核)」と、積極的に利益を狙う「サテライト(衛星)」に分けて管理する投資手法です。

これにより、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、リターンを追求することが可能になります。

一般的には、資産全体の70%〜90%をコアに、残りの10%〜30%をサテライトに配分します。

暴落時でもコア資産があるという安心感が、サテライト資産での冷静な判断につながります。

まずはご自身の資産をこの2つに分けて考えることから始めましょう。

決めておくべき5つの自己ルール

投資で感情的な判断を避けるためには、自分だけのルールブックを持つことが何よりも効果的です。

投資を始める前に最低限決めておきたい5つのルールを守るだけで、大きな失敗をする確率は格段に下がります。

この5つのルールを紙に書き出し、いつでも見返せるようにしておくだけで、投資における判断の迷いが大幅に減少します。

インデックス投資と個別株での損切りルールの違い

損切りとは、含み損を抱えた金融資産を売却して損失を確定させることです。

これは非常に重要ですが、投資対象によってその考え方は全く異なります。

日経平均株価に連動するインデックスファンドの場合、経済全体の成長と共に長期的には回復が期待できるため、安易な損切りは推奨されません。

一方で、個別企業の株式は、業績悪化などにより株価が回復しないリスクがあるため、購入時に撤退ラインを決めておくことが鉄則です。

インデックス投資はどっしりと構え、個別株投資は機動的に対応するというように、投資対象の特性に合わせた損切りルールを適用することが、資産を守る上で不可欠です。

今日から始める、迷わないための3つのアクション

これまで解説した投資ルールは、決めるだけでは意味がありません。

今日から行動に移すことが、将来の資産を感情の波から守るための最も重要な一歩です。

ここでは、具体的なアクションを3つのステップ(自分の投資の「基準額」の確認、「上限・下限ルール」のメモ、ルールを徹底して守るという決意)に分けて解説します。

また、多くの人が陥りがちな失敗パターンも確認し、同じ轍を踏まないようにしましょう。

この3つのステップを順番に実行するだけで、あなたはもう「いつ売るべきか」で迷うことはなくなります。

ステップ1・自分の投資の「基準額」の確認

まず最初にやるべきことは、あなたの投資判断の基点となる「基準額」を明確にすることです。

これは、あなたが最初に投資した金額や、「この金額をベースに資産を管理する」と決めたキリの良い数字を指します。

例えば、NISAのつみたて投資枠で毎月積立を行い、現在の評価額が115万円になっていたとします。

この場合、キリの良い100万円を基準額としても良いですし、現在の評価額である115万円を新たなスタート地点としても問題ありません。

大切なのは、自分で管理しやすい金額を一つ決めることです。

この基準額が全てのルールの出発点となりますので、まずはこの数字を確定させましょう。

ステップ2・「上限・下限ルール」のメモ

基準額が決まったら、次に「上限・下限ルール」を具体的に書き出します。

これは、感情に左右されずに機械的な売買を可能にするための、あなただけの行動計画書です。

例えば、基準額を100万円と決めたなら、スマートフォンや手帳に以下のようにメモしておきましょう。

この「+20%で増えた分だけ売る」「-20%で基準額まで買い増す」という具体的な数字が、相場の揺れからあなたを守ってくれます。

ルールを頭の中だけで考えず、実際に文字として書き出すことで、客観的な指針として常に意識できるようになります。

ステップ3・ルールを徹底して守るという決意

最後のステップは、最もシンプルでありながら最も難しい、「決めたルールを何があっても守る」という決意です。

優れたルールも、実行されなければ何の意味も持ちません。

今後、市場が過熱して資産が+30%になっても、「もっと上がるはずだ」と欲張らずにルール通り増えた分を売る覚悟が必要です。

逆に、暴落のニュースで市場がパニックになっても、冷静に自分のルールと向き合う姿勢が求められます。

相場のノイズに惑わされず、自分の決めたルールを淡々と実行し続けること。

この強い意志こそが、長期的に資産を育てていく上で最も重要な力となります。

多くの初心者が陥る3つの失敗パターン

ここまで解説したルール作りの重要性をより深く理解するために、多くの初心者が陥りがちな3つの失敗パターンを知っておきましょう。

これらは、明確なルールがないために感情に振り回された結果、起こってしまう典型的な行動です。

例えば、含み益が5%出ただけで慌てて全ての資産を売却してしまい、その後の大きな上昇を取り逃がすケースは後を絶ちません。

これらは、自分がなぜ投資をしているのかという目的と、具体的なルールが定まっていないことが原因です。

これらの失敗は、特別な知識がないから起こるのではなく、明確な「売り方のルール」がないために起こります。

あなた自身が作ったルールは、こうした感情的な罠から資産を守るための強力な盾となるのです。

まとめ

この記事は年初来の日経平均上昇局面で迷う初心者に向けて、リバランスの考え方を基にした具体的な利確ルールを分かりやすく伝える内容で、最も重要なのは予想ではなくルールで売ることです。

まずは自分の基準額を決め、上限を基準額+20%、下限を基準額−20%とメモして、上限到達時は増えた分だけ売り、下限到達時は基準額に戻す買い増しを今日から実行してください。

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