定期預金と国債どっちが有利?金利上昇期の賢い選択

コラム

日本では2024年にゼロ金利政策が終了し、政策金利の引き上げが進んでいます。金利上昇局面において、安全資産として注目されるのが定期預金と国債です。どちらも元本保証がある金融商品で、リスクを抑えつつ資産を増やす手段として有効です。本記事では、定期預金と国債の仕組みや現状の金利動向を比較し、金利上昇期に適した資産運用戦略を解説します。


定期預金と国債の基本概要

定期預金の特徴と現状の金利動向

定期預金は、銀行に資金を一定期間預けることで、事前に決められた金利の利息を受け取る仕組みです。元本保証があるため、安全性の高い金融商品として知られています。

定期預金の主な種類

  1. 一般定期預金:まとまった資金を一括で預ける標準的なタイプ。
  2. 大口定期預金:1,000万円以上など高額を預ける場合、金利が優遇される場合がある。
  3. 積立定期預金:毎月一定額を積み立てる形式で、少額から利用可能。

現在の金利状況(2025年1月時点)

大手銀行の定期預金の金利は通常、年0.125%~0.4%程度ですが、一部の銀行では特別キャンペーンを実施しています。

キャンペーンの一例

  • SBI新生銀行:「スタートアップ円定期預金」3カ月で 年1.20% の高金利を提供。
  • auじぶん銀行:「冬の1年もの特別金利キャンペーン」では 最大年1.00%。
  • オリックス銀行:「eダイレクト定期預金」1年で 年0.85%。

キャンペーン金利は期間限定ですが、条件を満たすことで通常より高い利息を得られます。短期的な金利上昇局面では、このような特別金利を活用するのが有利です。

定期預金のメリットと注意点

  • メリット
    • 元本保証があり、安全性が高い。
    • 金利上昇に応じて新しい定期預金商品に乗り換え可能。
  • 注意点
    • 中途解約すると、元本は保証されるものの利息が大幅に減少 する場合がある。
    • 長期定期預金の場合、金利が固定されるため、金利上昇局面では不利になることも。

国債の特徴と現状の金利動向

国債は、政府が資金を調達するために発行する債券で、購入者は利息を受け取り、満期時に元本を回収できます。個人向け国債と新窓販国債の2種類があります。

個人向け国債

個人向け国債は、最低1万円から購入可能で、金利タイプによって次の種類があります。

  1. 固定3年・固定5年:購入時に決まった固定金利が満期まで適用されます。2025年1月時点の金利は 年0.62%~0.77%。
  2. 変動10年:半年ごとに金利が見直される変動金利型で、現時点の金利は 年0.75%。最低金利(年0.05%)が保証されるため、金利が下がった場合でも元本と最低利息が保証されます。

新窓販国債

新窓販国債は、個人向け国債と異なり市場で取引が可能です。

  • 満期は 2年・5年・10年 の3種類で、いずれも固定金利型。2025年1月時点の金利は、年0.562%~1.095%。
  • 市場取引によって途中売却が可能ですが、市場価格の変動により 元本割れのリスクが伴います。

国債のメリットと注意点

  • メリット
    • 個人向け国債は元本保証があり、安全性が高い。
    • 変動10年国債は金利上昇時に自動的に利率が上がる仕組み。
  • 注意点
    • 新窓販国債は市場取引により、元本割れのリスクがある。
    • 中途換金時には一部利息が差し引かれることがある(個人向け国債の場合)。

金利上昇期における比較:定期預金と国債

金利上昇が定期預金に与える影響

短期間の定期預金は、金利上昇に迅速に対応できます。1年定期預金で金利が年0.4%の場合、満期後に再び高金利商品に乗り換えることで、継続的に上昇する金利の恩恵を受けることができます。一方、3年や5年の長期定期預金は金利が固定されるため、金利がさらに上昇すると不利になる可能性があります

金利上昇が国債に与える影響

個人向け国債の変動10年型は、半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇局面で最も恩恵を受ける商品です。特に、日本の政策金利が今後も引き上げられると予測されている中では、変動金利型国債は有効な選択肢です。一方で、固定金利型の国債は、金利が上昇すると魅力が低下する可能性があります。


金利上昇期におすすめの運用戦略

金利が上昇している局面では、安全資産を中心にした運用が注目されます。特に、短期間での金利変動に対応できる金融商品や、金利上昇に伴って自動的に利率が上がる仕組みを活用することが重要です。以下では、金利上昇期における具体的な運用戦略を3つの観点から詳しく解説します。


1. 短期定期預金を活用

金利上昇期には、1年以内の短期定期預金を活用することで、上昇した金利を効率的に反映させることが可能です。定期預金の中でも短期間のものは、満期後に最新の金利状況に基づいて再預入できるため、金利変動に柔軟に対応できます。

短期定期預金の具体的な活用方法

  • キャンペーン定期預金を活用
    多くの銀行では期間限定で高金利の定期預金キャンペーンを実施しています。例えば、SBI新生銀行の「スタートアップ円定期預金」では、3カ月で年1.20%の金利が適用されます。このような特別金利を利用すれば、短期間でも効率よく利息を得ることができます。
  • ボーナスや余剰資金の運用に最適
    短期定期預金は、資金を長期間拘束する必要がないため、次の投資先を見定めるまでの一時的な運用先としても適しています。特に、ボーナスやまとまった余剰資金を活用することで、無駄なく運用できます。
  • 満期後のロールオーバー
    金利上昇が続くと予想される場合、短期定期預金の満期時に再度預け入れることで、金利の上昇分を取り込むことができます。この「短期での乗り換え戦略」が、金利上昇期には特に有効です。

短期定期預金活用時の注意点

  • 途中解約のリスク
    短期であっても途中解約すると、適用金利が著しく低くなる可能性があります。資金が必要になるタイミングを慎重に見極めた上で預け入れることが重要です。
  • 金利固定の影響
    短期間でも固定金利のため、急激な金利上昇が起きた場合、契約中の金利変更はできません。

2. 変動10年国債を選択

変動10年国債は、金利上昇局面で最も効果的に利益を得られる金融商品です。半年ごとに金利が見直されるため、政策金利の上昇を即座に反映できる仕組みが特徴です。

変動10年国債の具体的な活用方法

  • 金利上昇時の自動対応
    変動10年国債では、半年ごとに利率が見直されるため、金利上昇時に自動的に利息が増えます。2025年1月時点では年0.75%の利率が適用されていますが、今後の政策金利の上昇に伴い、利率も段階的に引き上げられる可能性があります。
  • 最低金利保証の安心感
    変動10年国債は、最低金利が年0.05%に設定されており、金利が急激に下落する場合でも最低限の利息を確保できます。このため、金利上昇が一時的に止まった場合や、景気後退による利下げ局面にもある程度の安全性があります。
  • 長期的なインフレ対策
    金利上昇局面は通常、インフレの兆候が伴います。変動10年国債は、インフレに合わせて金利が上がる仕組みになっているため、物価上昇のリスクを軽減する手段としても有効です。

変動10年国債活用時の注意点

  • 中途換金時のコスト
    変動10年国債は、発行後1年以上経過すれば中途換金が可能ですが、直近2回分の利息が差し引かれます。このため、短期間での売却を前提とする運用には不向きです。

3. 定期預金と国債の組み合わせ戦略

金利上昇期には、定期預金と国債を組み合わせた運用戦略が特に有効です。それぞれの特性を活かし、リスクを抑えながら収益を最大化することが可能です。

組み合わせの具体的な方法

  • 短期定期預金で流動性を確保
    資金の一部を短期定期預金に分けて預けることで、近い将来に必要となる資金や金利変動への柔軟な対応を可能にします。
  • 変動10年国債で長期的な利益を確保
    資金のもう一部を変動10年国債に振り分けることで、金利上昇の恩恵を長期的に受けることができます。特に、今後の政策金利上昇が予想される状況では、変動金利型の特性を最大限に活かすことができます。
  • 分散投資によるリスク軽減
    定期預金は途中解約による利息減少、新窓販国債は市場価格変動による元本割れリスクがそれぞれ存在します。両者を組み合わせることで、それぞれの弱点を補い、リスクを軽減する効果が期待できます。

まとめ

金利上昇期には、定期預金と国債をうまく活用することで、安全性を維持しつつ資産を増やすことが可能です。短期定期預金で流動性を確保しつつ、変動10年国債で長期的な金利上昇の恩恵を受ける戦略が有効です。

金利の上昇局面が続く現在、自身の資金計画や投資目的に応じて最適な運用方法を選び、堅実に資産を増やしましょう。

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