世界経済の先行き不透明感が増す中、安定収益を狙うなら高配当銘柄は有力な選択肢です。特に4月は利回り3%以上の優良株が揃う注目の月。本記事では、4月権利確定銘柄5選を厳選し、配当投資の狙い目を解説します。
4月権利確定銘柄の特徴
4月に権利が確定する銘柄は件数が少なく、主に中小型株が中心となります。しかし、その中でも配当利回り3%以上を維持し、安定した業績基盤を持つ銘柄は存在します。特に景気動向に左右されにくい事業を展開している企業や、成長市場にポジションを築いている銘柄は注目度が高まっています。
権利確定日の基本
権利確定日は、株主として配当や株主優待を受け取るための重要な基準日です。通常、権利付き最終日の取引終了時点で株を保有している必要があります。なお、2025年4月の権利付き最終日は、29日が祝日で市場が休場となるため、例年より早く4月25日(金)となります。配当狙いで投資する場合は、スケジュールの確認が必須です。
4月銘柄が少ない理由
4月権利確定銘柄が少ない理由は、日本企業の決算期に起因します。多くの企業が3月決算を採用しており、配当や優待の権利確定月は3月が圧倒的多数です。一方で4月決算の企業は少数派であり、その分、希少性の高い高配当銘柄が集中しています。利回り3%以上の銘柄に絞って投資対象を選ぶ場合、4月は特に厳選の目が求められます。
利回り3%以上 4月権利銘柄5選
ここでは、2025年4月に権利確定となり、かつ予想配当利回り3%以上を誇る注目の5社をピックアップしました。安定配当を長期保有で得たい方は必見のラインナップです。
※株価は、3月18日時点。
コード | 銘柄名 | 株価 | 特徴 |
3524 | 日東製網 | 1,623円 | 漁業用ネットの製造・販売をリードする企業で、特に海外での養殖事業の展開を加速しています。 |
4750 | ダイサン | 582円 | 住宅建設の現場で使用される足場の設計・施工を行い、安定した実績を誇る企業です。 |
6309 | 巴工業 | 4,180円 | 遠心分離機の分野で業界を牽引する企業。精密で高品質な製品を提供しています。 |
7856 | 萩原工業 | 1,513円 | 合成樹脂繊維の大手メーカーで、特にブルーシートが主力製品として広く使用されています。 |
8917 | ファースト住建 | 1,070円 | 関西地域を中心に戸建て住宅の建設を行っており、品質とデザインに定評のある企業です。 |
銘柄①【日東製網<3524>】
日東製網は、漁業用の各種網の製造・販売で業界トップシェアを誇る企業です。特に世界的に成長を続ける養殖市場において、東南アジアを中心に積極展開しているのが特徴。漁業の減少傾向が続く中で、養殖市場は年率5%ペースで拡大し、2030年には4,000億ドル規模に達するとも予測されています。
配当利回りと業績推移
日東製網の配当利回りは現在3%以上を維持。2025年4月期は一時的に減益見通しですが、これは前期の特別利益計上による反動が主因で、営業利益自体は堅調な増益予想となっています。
配当方針と今後の見通し
日東製網は、世界的な養殖事業の成長を追い風に、海外展開をさらに加速。持続可能な事業拡大を前提に、安定的な配当方針を掲げており、長期投資に適した銘柄と言えます。
銘柄②【ダイサン<4750>】
ダイサンは、住宅建設現場で使用される足場の設計・施工を手掛ける企業で、国内トップクラスのシェアを誇ります。住宅需要に左右される側面はありますが、大手取引先である大和ハウス工業との取引が安定していることが強みです。
直近の配当実績
コロナ禍や人件費上昇の影響で一時的な減配がありましたが、2025年4月期は黒字転換見込み。業績回復を背景に、配当の安定性が期待されています。
株主優待との組み合わせ効果
ダイサンでは株主優待制度も導入しており、配当+優待を合わせた実質利回りはさらに上昇します。中長期保有での総合リターンに期待できます。
銘柄③【巴工業<6309>】
巴工業は、遠心分離機の分野で業界をリードする存在です。遠心分離機は、化学・食品・医薬品など幅広い業界で活用されており、特に精密性と高品質を求められる分野で高いシェアを誇ります。巴工業は10月決算ですが、中間配当を行っており、4月権利確定銘柄として注目に値します。
業種特性と配当安定性
巴工業の遠心分離機は更新需要が堅調であり、2024年11月〜2025年1月期(2025年10月期第1四半期)には前年同期比50〜60%の増益を達成。景気の波に比較的左右されにくい事業特性と、堅実な経営が配当安定性を支えています。
直近の配当利回り比較
現在の予想配当利回りは約3.2%で、同業他社の平均と比較しても高水準を維持。通期の業績見通しに対する進捗率が好調なため、今後の上方修正やさらなる増配にも期待が持てます。
銘柄④【萩原工業<7856>】
萩原工業は、合成樹脂繊維の大手メーカーであり、特にブルーシート市場では国産トップクラスのシェアを誇る企業です。インフラ関連需要や防災需要を背景に、安定した事業基盤を築いています。
増配傾向の背景
2024年11月〜2025年1月期は、新設備稼働による減価償却費の増加や基幹システムの更新費用の影響で営業利益が伸び悩んだものの、主力の機械製品事業の受注残が回復傾向にあります。過去数年にわたり増配を継続しており、今後も安定した配当が見込まれます。
今後の業績見通し
設備投資によるコスト増は一時的要因であり、長期的には業績拡大とともに配当の安定性・増額余地も十分。堅実に利回り3%以上を維持できる可能性が高い銘柄です。
銘柄⑤【ファースト住建<8917>】
ファースト住建は、関西エリアを中心に戸建て住宅を提供するパワービルダー。品質とデザインにこだわり、地域密着型の経営で高い顧客満足度を維持しています。
事業内容と配当方針
ファースト住建は10月決算で中間配当を実施。2025年10月期の業績予想では、売上・営業利益・経常利益いずれも大幅な増収増益見込み。特に住宅市場が堅調で、自社株買いや積極的な株主還元姿勢も評価されています。
株価推移と利回り水準
株価は直近で安定推移しており、配当利回りは3%以上の水準を維持。前期の特別利益(負ののれん発生益)による一時的な純利益減少が見られますが、経常ベースでは堅調な成長が続いています。
4月銘柄で高配当投資を成功させるコツ
4月の権利確定銘柄は限られているものの、安定した利回りを狙うには投資タイミングと銘柄選定の工夫が欠かせません。特に権利付き最終日までの株価の動きと、権利落ち後の調整局面に注目する必要があります。
配当狙いで4月銘柄を購入する場合、直前の駆け込み買いが増えることで株価が過熱しやすい傾向があります。一方、権利確定後には配当落ち分を織り込んで株価が一時的に下落するケースが多いため、短期で売却する場合は注意が必要です。逆に、長期で安定配当を狙う投資家にとっては、一時的な下落局面は買い増しの好機とも言えます。
また、4月は配当銘柄が比較的少ないため、1つの銘柄に資金を集中しがちですが、それはリスクが高くなります。投資を成功させるためには、次のポイントが重要になります。
分散投資の重要性
4月権利銘柄に限らず、配当投資を実践する際には「分散投資」が基本戦略です。特に4月の銘柄は中小型株が多く、個別企業の業績や外部環境によって株価が大きく動く場合があります。一つの銘柄に集中投資してしまうと、業績悪化や減配発表といった突発的なリスクに対処しにくくなります。
分散投資を行うことで、個別銘柄のリスクを相殺しつつ、ポートフォリオ全体の安定性を高められます。異なる業種・事業領域に属する企業を組み合わせれば、特定の業界の景気変動が与える影響を緩和できます。
今年は、米国市場の不安定化や為替変動といったマクロリスクも見逃せません。こうした外部環境の影響を受けづらくするためにも、複数月にわたって権利確定日が異なる銘柄を保有し、配当取得のタイミングをずらす工夫が効果的です。
具体的なポートフォリオ例
具体的には、以下のような配当月・業種分散を意識したポートフォリオを組むと、安定性が高まります。
<4月権利銘柄>
日東製網(3524):養殖市場拡大の恩恵を受ける海洋関連
巴工業(6309):機械製造業、遠心分離機の堅実需要
ダイサン(4750):住宅建設足場、国内建設需要と連動
<3月権利銘柄>
三菱HCキャピタル:リース事業で安定配当、金融セクター
日本たばこ産業(JT):高配当の代表格、生活必需品セクター
<9月権利銘柄>
ENEOSホールディングス:エネルギーセクター、原油価格動向にも注目
オリックス:多角経営で安定収益、株主優待も充実
これにより、配当収益を年間を通じて確保しながら、特定の月や業種への偏りを抑えた堅実な投資が実現できます。また、新NISA制度を活用し、長期保有を前提としたポートフォリオとすることで、非課税メリットも最大限享受できます。
4月銘柄に資金を集中しすぎず、業績安定・財務健全性のある他月銘柄を組み合わせることが、長期的な配当収益の最大化とリスク低減に繋がります。
まとめ
4月権利確定銘柄は数こそ少ないものの、利回り3%以上の安定配当株が揃っています。業績や財務の健全性を確認しつつ、分散投資と権利落ち後の株価動向にも注意を払いましょう。戦略的な投資で配当収益を着実に積み上げることが可能です。