高配当株5選!2024年に大幅上昇し今後も期待できる銘柄

コラム

2024年の株価上昇で注目された高配当銘柄群は、2025年以降も引き続き投資家の関心を集めるテーマです。これらの銘柄は、配当利回りが高水準であるだけでなく、業績安定性や株主還元の方針が評価される点が特徴です。今後の市場動向やセクター別の特性を踏まえながら、効率的な資産運用を目指すための重要な視点を解説します。

2025年の日本株市場の動向と注目点

2025年に入り、日本株市場は軟調な展開が続いています。2024年末には日経平均株価が4万円台に乗せる場面もありましたが、年明け以降は調整色が強まり、1月中旬には一時3万8,000円近辺まで下落しました。この動きの背景には、米国の利下げペース鈍化や米長期金利の上昇が影響しています。

さらに、日本銀行の利上げ実施観測も市場に重くのしかかり、日本株市場のマイナス要因となりました。一方で、為替市場における円安の進行や一部銘柄の好調な決算は支援材料として働き、月後半には日経平均が再び反発する場面も見られました。

米国では2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足し、政策の方向性が市場に大きな影響を与えています。規制緩和やインフラ投資への期待感が高まる一方で、関税政策や移民政策といったネガティブな側面も投資家心理を揺さぶっています。このような状況下で、投資家は短期的なトレンドだけでなく、中長期的な視点で投資対象を見極める必要があります。

2024年高配当銘柄の上昇トレンドに注目

2024年は、多くの高配当株が大幅な株価上昇を記録しました。その背景には、配当利回りの高さに加え、企業の業績向上や積極的な株主還元策が評価されたことが挙げられます。青山商事(8219)、日本触媒(4114)、淀川製鋼所(5451)、FPG(7148)、MS&ADインシュアランスグループHD(8725)などは、2024年に株価が大幅に上昇したにもかかわらず、依然として高配当利回りを維持しています。

厳選・高配当株の特徴

これらの銘柄は、配当利回りが4.5%以上、時価総額が1,000億円以上、かつ2024年の株価上昇率が30%以上という条件を満たしています。また、いずれも業界内での競争優位性を持ち、安定した収益基盤を有している点が魅力です。青山商事は紳士服事業を軸に収益を上げており、積極的な配当政策を採用しています。一方、日本触媒は紙おむつの原材料となる高吸水性樹脂で世界トップクラスのシェアを持ち、持続可能な成長が期待されています。

これらの銘柄は、株価が上昇した後でも配当利回りが高いため、相対的な割安感があると評価され、引き続き投資家の注目を集めています。

米新政権の影響と日米金融政策

2025年1月のトランプ政権発足により、米国市場では政策変化への期待と懸念が交錯しています。規制緩和やインフラ投資といった政策は株価押し上げ要因となる一方、対中関税の再強化や移民政策といったネガティブな側面も無視できません

日銀や米FOMC(米連邦公開市場委員会)などの金融政策も、市場の方向性に大きく影響しています。1月下旬の日銀金融政策決定会合では、0.25%の利上げが実施される可能性が議論されており、これが実現すれば市場に「あく抜け感」が生じることが期待されています。一方で、FOMCでは利下げ回数見通しが下方修正される可能性があり、米国市場にとっては逆風となるものの、円高進行を抑制する効果も期待されます。

厳選・高配当銘柄の詳細分析

※数値は、1月17日時点で計算。

コード 銘柄名 株価 配当利回り 時価総額
7296 エフ・シー・シー 3,125円 6.46% 1626億円
8219 青山商事 2,146円 5.92% 1081億円
4114 日本触媒 1,868円 5.78% 2914億円
5451 淀川製鉄所 5,400円 5.72% 1719億円
7148 FPG 2702円 4.83% 2307億円
1885 東亜建設工業 1159円 4.66% 1042億円
8725 MS&AD
インシュアランス
グループHD
3,185円 4.55% 5122億円

エフ・シー・シー(7296)

株価;3,125円
配当利回り:6.46%

自動車・二輪車用クラッチの専業メーカーで、二輪車用クラッチの世界シェアはトップクラスです。特にアジア市場での存在感が大きく、環境対応型製品や新技術の開発にも積極的です。2024年の業績は、二輪車市場の需要回復や新興国市場での販売拡大を受け堅調に推移しました。株価騰落率は83.62%と非常に高く、2024年12月時点で配当利回りは6.46%と魅力的な水準を維持しています。

青山商事(8219)

株価;2,146円
配当利回り:5.92%

紳士服事業を中心に展開する青山商事は、収益改善に向けた取り組みが進んでいます。2024年には配当性向を70%まで引き上げる方針を示し、年間配当金を127円に増額しました。また、自社株買いの実施も発表しており、株主還元の姿勢が評価されています。

日本触媒(4114)

株価;1,868円
配当利回り:5.78%

紙おむつの原材料である高吸水性樹脂を主力とする日本触媒は、ディスプレイや半導体関連の需要増加を背景に業績を拡大しています。配当金も2024年度の70円から108円に引き上げられ、さらに2025年度以降の増配期待も高まっています。

淀川製鋼所(5451)

株価;5,400円
配当利回り:5.72%

溶融亜鉛めっき鋼板を中心に事業を展開する淀川製鋼所は、配当性向を75%以上に設定し、2025年度の年間配当金を309円と計画しています。堅実な財務基盤と積極的な株主還元が投資家に支持されています。

FPG(7148)

株価;2,702円
配当利回り:4.83%

リースファンド事業を手掛けるFPGは、国内外での不動産ファンド事業を拡大し、業績が急成長しています。2024年度には年間配当金を120.3円に引き上げ、2025年度もさらなる増配が予定されています。

東亜建設工業(1885)

株価;1,159円
配当利回り:4.66%

港湾工事や浚渫(しゅんせつ)工事に強みを持つ建設企業で、大型公共事業に数多く携わる実績があります。海外事業にも力を入れており、東南アジア地域での受注拡大が注目されています。2025年3月期上半期は堅調な進捗を見せ、国内外での受注環境は安定しています。株価は配当利回りの高さや安定的な財務基盤を背景に底堅く推移しています。

MS&ADインシュアランスグループHD(8725)

株価;3,185円
配当利回り:4.55%

国内トップの損害保険会社であるMS&ADは、12期連続増配を継続しており、株主還元に積極的な姿勢を示しています。2025年度の年間配当金は72.5円を計画しており、安定的な収益基盤が評価されています。

高配当株投資のポイント

高配当株は、安定した配当収入を得られることから多くの投資家に支持されていますが、効果的に運用するためにはいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。以下では、リスク管理や投資戦略を具体的に解説します。

1. 配当利回りだけに惑わされない

高配当株を選ぶ際、配当利回りの高さだけに注目するのは危険です利回りが極端に高い銘柄は、業績が悪化し、株価が急落した結果として利回りが見かけ上高くなっている場合があります。また、無理な配当を続ける企業は、将来的に減配リスクを抱えていることが多いです。
選定の際は、配当利回りに加えて、企業の収益性や財務健全性を確認し、安定した配当を継続できる体力があるかを見極めることが重要です。

ポイント: 配当性向(純利益に対する配当の割合)が高すぎる企業は、利益減少時に配当を減らさざるを得ない場合があるため注意が必要です。

2. 業績安定性と将来性の確認

高配当株への投資では、業績の安定性が重要です。特に景気の影響を受けにくい「ディフェンシブセクター」と呼ばれる分野(公益事業、医薬品、通信など)に属する企業は、安定的に利益を生み出す傾向があります
また、将来的な成長が見込めるかもポイントです。人口構造の変化や技術革新によって需要が拡大する分野に投資することで、長期的なリターンが期待できます。

ポイント: 景気敏感株の場合、好況時には高配当でも不況時に配当を減らす可能性があるため、安定的に収益を確保できる企業を優先しましょう。

3. 分散投資の徹底

高配当株に限らず、投資では分散が基本です。一つのセクターや地域に集中することはリスクを高めます。高配当株投資では、業種や国際市場で分散することが重要です。国内企業の高配当株だけでなく、海外の有望な高配当株も検討することで、為替リスクを取りながらもリターンの向上を目指せます。

ポイント: エネルギー、金融、不動産などの異なるセクターに分散投資することで、市場の変動に対応できる安定したポートフォリオを構築できます。

4. 減配リスクへの備え

高配当株は、減配リスクを抱える場合があります。特に業績が不安定な企業や資金繰りが悪化している企業は、将来的に配当を減らす可能性が高いです。そのため、投資前には企業のキャッシュフローや負債状況を確認し、減配リスクを避けるようにしましょう。

確認するべき指標

フリーキャッシュフロー(営業活動で得られる資金の余剰)
配当性向(利益のうち配当に充てられる割合)
財務レバレッジ(負債の割合)

5. 配当政策の見直しがある企業に注目

最近では、株主還元策を強化する企業が増えています。配当性向を引き上げたり、安定配当を目指す方針を発表する企業は投資の魅力が高まります。また、自社株買いを積極的に行う企業も株主還元の一環として評価されます。こうした企業の動向をチェックすることが、優良な高配当株を見つけるカギとなります。

ポイント: 過去の配当実績や株主還元方針を企業のIR(投資家向け情報)で確認することが効果的です。

6. 長期保有の視点を持つ

高配当株投資は、短期的な値上がり益を狙うものではなく、長期的な配当収入を積み上げることで安定したリターンを目指す戦略です。特に、NISAなどの非課税制度を活用すれば、配当収入を効率よく手元に残せるため、資産形成に有利です。

ポイント: 長期保有を前提に、株価下落時にも配当を受け取り続けることで、総合的なリターンを高めることができます。

7. 外部要因の影響を考慮する

高配当株のパフォーマンスには、金利や為替、経済政策といった外部要因も影響します。金利上昇局面では高配当株の魅力が相対的に低下する可能性があります。一方、金利が安定している場合は高配当株が安定的に収益を提供する傾向があります。

ポイント: 金融政策や為替の動きを定期的にチェックし、それに応じたポートフォリオの見直しを行うことが重要です。

高配当株関連の記事

以下のリンクでは、過去記事から高配当株関連の記事を記載していますので、参考までにご覧ください。

高配当株と分配型ファンド、どっちが有利?
高配当株ランキング!増益・増配の注目銘柄をNISAで狙う

まとめ

2024年に大幅な株価上昇を記録した高配当株は、2025年以降も引き続き注目されています。青山商事、日本触媒、淀川製鋼所、FPG、MS&ADといった企業は、高い配当利回りと安定的な収益基盤を武器に、投資家に魅力的な選択肢になります。

金融政策や米新政権の政策動向を見極めつつ、これらの高配当銘柄をポートフォリオに組み込むことで、効率的な資産運用を目指しましょう。特に、分散投資と長期保有を意識することで、収益の安定化とリスクの軽減を図ることが可能です。

タイトルとURLをコピーしました