海水淡水化市場2倍へ!今こそ押さえたい関連銘柄5選

コラム

海水淡水化技術は、気候変動と人口増加による世界的な水不足への解決策として注目されています。国連の予測によると、2050年には世界人口が96億人に達する見込みです。こうした状況に対応するため、飲料水の安定供給を目指して、海水を淡水に変える技術の重要性がますます高まっています。市場調査では、海水淡水化市場は2032年までに約2倍に成長すると見込まれ、関連銘柄への投資が有望視されています。

本記事では、海水淡水化の技術的な進歩や市場拡大の背景を説明し、投資家が注目すべき関連銘柄5選を紹介します。

海水淡水化市場拡大の背景

水資源の不足は世界中で深刻な問題となっており、ユニセフの報告では2022年時点で世界の約22億人が安全に管理された飲み水を利用できていません。人口の増加が続く中、こうした水問題はさらに悪化する見込みです。地球上の水のほとんどは海水であり、人が利用できる「真水」は全体のわずか0.01%しかありません。このような背景から、海水を淡水に変える技術は、社会的に欠かせないインフラの一部となっています。

海水淡水化技術の概要と用途

海水淡水化の技術は、飲料水や農業・工業用水の供給に使われ、多様な用途で展開されています。主な技術には以下の3つがあります。

逆浸透膜(RO)法:海水に圧力をかけ、RO膜を通して塩分を除去する方法。
多段フラッシュ蒸発(MSF)法:海水を加熱して蒸発させ、淡水を得る技術。
電気透析(ED)法:電気を使って塩分を除去する省エネ技術。

逆浸透膜(RO)法のメリットと課題
現在、海水淡水化技術の約70%が逆浸透膜(RO)法で行われています。この技術はエネルギー効率が高く、運用コストを抑えられるため、多くのプラントで採用されています。しかし、RO法は大量の電力を消費し、排水として塩分濃度の高い廃水が生じるため、環境への影響が課題となっています。

次世代技術の登場
近年は、RO法の課題を解決するための新しい技術も登場しています。日本の日本触媒(4114)は、FO膜(正浸透膜)を活用し、電力消費を3分の1に抑える新しいシステムを開発しました。また、東京科学大学は、液体金属と太陽光を活用し、電力をほとんど使わない画期的な技術を開発しており、今後の実用化が期待されています。

海水淡水化市場の注目銘柄5選

市場の成長を背景に、以下の5つの銘柄が注目されています。これらの企業は、技術力と市場シェアの両方で競争力があり、今後の成長が期待されています。

1. 日本触媒(4114)

日本触媒は、高吸水性樹脂で世界トップのシェアを持ち、海水淡水化の基幹技術でも成果を上げています。2024年には、米国のトレビ社と共同でFO膜を使った海水淡水化システムを発表し、従来のRO法と比べて電力消費を3分の1に抑えることを実証しました。

10月18日現在の株価と配当利回り

  • 株価: 約6,290円
  • 配当利回り: 約3.1%
  • 株価の見通し:上昇トレンドを形成中で、押し目買いが有望。

2. 酉島製作所(6363)

酉島製作所は、大型・高圧ポンプを手掛けるメーカーで、海水淡水化プラント向けに多くの導入実績があります。2024年8月には、アブダビ国営石油会社から73台のポンプを受注。これにより、株価は上昇トレンドに転じ、今後の成長が期待されています。

10月18日現在の株価と配当利回り

  • 株価: 約6,290円
  • 配当利回り: 約3.1%
  • 株価の見通し:中東での需要増加がさらなる追い風に。

3. 帝国電機製作所(6333)

帝国電機製作所は、液漏れを防ぐキャンドモータポンプで高いシェアを誇ります。医薬や食品業界、原子力発電所など多岐にわたる分野で使用され、海水淡水化プラントでも重要な役割を果たしています。

10月18日現在の株価と配当利回り

  • 株価: 約3,080円
  • 配当利回り: 約2.0%
  • 株価の見通し:年初来高値を更新する勢いがあり、さらなる上昇が期待されます。

4. 東洋紡(3101)

東洋紡は、高機能素材メーカーとして、海水淡水化プラント向けの中空糸型FO膜を供給しています。日本触媒とトレビ社の共同プロジェクトで同社の膜が採用され、今後の受注拡大が見込まれます。

10月18日現在の株価と配当利回り

  • 株価: 約1,180円
  • 配当利回り: 約3.2%
  • 株価の見通し:ボトム圏からの反発が期待される状況です。

5. 荏原製作所(6361)

荏原製作所は、サウジアラビアの国家プロジェクトで高圧パイプラインポンプを納入した実績があり、世界的な水処理市場で存在感を示しています。中東地域での水需要拡大に対応するため、さらなる成長が期待されています。

10月18日現在の株価と配当利回り

  • 株価: 約2,850円
  • 配当利回り: 約2.7%
  • 株価の見通し:移動平均線を突破し、上昇トレンドに転換中。

投資リスクとリスク管理の方法

海水淡水化関連銘柄への投資には、為替リスクや規制リスクが伴います。これらのリスクを適切に管理するためには、以下の戦略が有効です。

為替リスクへの対応策
海外企業への投資では、為替変動がリターンに影響を与える可能性があります。為替ヘッジ付きの投資信託を活用することで、リスクを最小限に抑えることができます。

規制リスクとその回避方法
海水淡水化プロジェクトは、政府の規制や補助金に依存するため、政治情勢の変化が影響を与える可能性があります。複数の地域やセクターに分散投資することで、リスクを軽減できます

2032年に向けた長期投資戦略の提案

中東やアフリカなど水需要が高い地域を中心に、長期的な視点での投資が推奨されます。これらの地域では政府主導のプロジェクトが進行しており、成長のチャンスが多いです。

まとめ

海水淡水化市場は、2032年までに約2倍に拡大する見通しであり、関連銘柄への投資は長期的な利益を狙う良いチャンスです。日本触媒や荏原製作所などの企業は、この市場成長の恩恵を受け、今後の株価上昇が期待されます。為替リスクや規制リスクを適切に管理し、地域別・分野別の成長を捉えたポートフォリオを構築しましょう。

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