本記事は、投資家目線で10のリスクを整理し、資産配分・通貨分散・現金比率・ルール運用という現実的な備えを具体的に示します。
本記事は独自予想であり、投資判断は自己責任です。
- 監視すべき10のリスクテーマ
- リスクが株・為替・金利に与える具体的影響
- 相場の3つの想定シナリオ
- 個人投資家向けの分散投資と具体的ルール
2026年に「想定外の政治リスク」へ備えるべき理由
これからの投資環境で資産を守るためには、経済指標の数字を追うだけでは不十分です。
なぜなら、投資家のみなさんが最も大きな損失を被るきっかけは、想定外の政治イベントによるパニック的な売買だからです。
2026年に向けては、経済データよりも政治家の発言一つが相場の流れを決定づける「経済指標よりも政治の一言が相場を動かす時代」になる可能性が高まっています。
このような予測困難な時代だからこそ、投資家には「予測精度」から「損失を限定する仕組み」への転換という、根本的な考え方のシフトが求められるのです。
経済指標よりも政治の一言が相場を動かす時代
これまでの金融市場は、米国の雇用統計や消費者物価指数(CPI)といった経済指標の結果に大きく左右されてきました。
しかし2026年にかけては、大統領の発言や貿易政策の変更、金融規制の強化といった政治的な要因が、経済指標以上に市場を揺さぶる場面が増えると考えられます。
実際に、2016年の米国大統領選挙の後には、特定の政策への期待から株価が大きく変動しました。
また、英国のEU離脱を問う国民投票では、英ポンドが対円で1日に15円以上も下落するなど、政治イベントが経済の前提を根底から覆す事例は決して珍しくありません。
| 影響を与える政治的要因 | 市場への波及経路 |
|---|---|
| 貿易政策(関税引き上げなど) | 対象国の企業業績悪化、サプライチェーン混乱 |
| 金融規制の変更 | 銀行やテクノロジー企業の株価変動 |
| 外交方針の転換 | 地政学リスクの高まり、エネルギー価格の変動 |
| 財政政策(減税・歳出拡大) | 長期金利の上昇、通貨価値の変動 |
このように、経済データが良好な状態であっても、たった一つの政治的な決断が市場の雰囲気を一変させてしまうのです。
そのため、投資家はニュースの背後にある政治的な意図や、それが世界経済に与える影響までを読み解く視点が不可欠になります。
投資に求められる「予測精度」から「損失を限定する仕組み」への転換
政治が複雑に絡む相場において、未来を正確に予測することはプロのアナリストでも極めて困難です。
そこで重要になるのが、予測を当てることよりも「想定外の事態が起きても致命的な損失を負わない仕組み」をあらかじめポートフォリオに組み込んでおくという考え方です。
例えば、全資産を米国の半導体関連株に集中投資していた場合を考えてみましょう。
米国の輸出規制強化という一つの政治リスクによって、資産が1日で20%以上も減少するシナリオがあり得ます。
しかし、資産を複数の国や資産クラス(株式、債券、金など)に分散させておけば、一つの下落要因がポートフォリオ全体に与える影響を限定できます。
| 仕組み | 具体的な行動 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 資産の分散 | 国・地域(米国、日本、欧州、新興国など)や資産の種類(株式、債券、金、不動産など)の組み合わせ | 特定の市場が暴落しても、他の資産がクッション役となり、全体の損失を抑制 |
| 時間の分散 | 一度にまとめて投資せず、毎月一定額を積み立てる(ドルコスト平均法) | 高値掴みのリスクを避け、平均購入単価を平準化 |
| 売買ルールの設定 | 「資産全体の10%下落したら買い増す」「20%下落したら損切りする」など、ルールを事前に決定 | 相場急変時の感情的な判断(狼狽売りなど)を防止 |
予測できない政治リスクに備える最善の策は、当たるか外れるか分からない未来予測に賭けることではありません。
どのような状況になっても冷静に対応できる、頑丈な資産の守りをあらかじめ構築することなのです。
独自整理・2026年に監視すべき10のリスクテーマ
2026年の金融市場を考える上で最も重要なことは、未来を正確に予測するのではなく、起こりうる複数のリスクシナリオを事前に想定しておくことです。
経済指標の良し悪しだけを見ていては、大きな変化を見逃すことになりかねません。
ここでは、米国起点の政治・経済リスクから、中国や欧州の構造問題、そして長期化する地政学リスクまで、投資家のみなさんが監視すべき10のテーマを具体的に解説します。
これらのリスクを自分事として捉え、資産を守るための設計図を描くことが、これからの投資戦略の鍵となります。
リスク1、米国政治の不確実性と政策の急旋回
2026年の金融市場で最も警戒すべきリスクは、米国の政治動向に起因する政策の急激な変化です。
これは、特定の政党が勝利する、という単純な話ではありません。
大統領や議会の意向一つで、これまでの国際協調路線が大きく転換するシナリオに備える必要があります。
例えば、環太平洋パートナーシップ(TPP)からの再離脱や、特定の国に対する高関税といった保護主義的な貿易政策が打ち出された場合、世界のサプライチェーンは混乱し、多くの企業の収益見通しが大きく変わるでしょう。
特に、輸出依存度の高い日本企業や、グローバルに事業を展開するテクノロジー企業は直接的な影響を受けます。
| 影響を受ける分野 | 具体的な変化の例 |
|---|---|
| 貿易政策 | 特定国への一律関税導入、国際協定からの離脱 |
| 産業規制 | 環境規制(パリ協定など)の方針転換、IT企業への規制強化 |
| 財政政策 | 大規模減税による財政赤字の拡大懸念 |
| 外交・安全保障 | 同盟国との関係見直し、地政学リスクの高まり |
このように、米国の内政問題は世界経済に直結するため、投資家は常に政策の方向性を注視し続ける必要があります。
リスク2、インフレ再燃と米国金利の再上昇
FRB(米連邦準備制度理事会)が一度はインフレを抑制したように見えても、その火種はくすぶり続けています。
地政学リスクの高まりによる資源価格の上昇や、構造的な人手不足による賃金上昇圧力が根強く残れば、インフレが再燃するシナリオは十分に考えられます。
もし再びインフレ率が高まれば、FRBは金融引き締め、つまり金利の再引き上げを迫られます。
米国の長期金利が再び上昇局面に転じると、PER(株価収益率)が高いハイテク・グロース株は、将来得られるはずの利益の現在価値が大きく目減りするため、株価が大幅に調整しやすくなります。
| 資産クラス | 米国金利が再上昇した場合の影響 |
|---|---|
| 米国グロース株 | 割高感が意識され、株価下落圧力が高まる |
| 新興国資産 | ドル高が進み、資金流出懸念から売られやすくなる |
| 不動産(REITなど) | 借入コストが増加し、収益性が悪化 |
| 米国債 | 債券価格は下落(金利は上昇) |
米国金利は世界の金融市場の「ものさし」です。
その動向は、みなさんが保有する投資信託や株式など、あらゆる資産の価格形成に影響を与えます。
リスク3、ソフトランディング失敗による米国景気の失速
ソフトランディングとは、金融引き締めを行っても景気後退を招くことなく、うまくインフレを抑制することですが、この非常に難しい舵取りが失敗するリスクも残ります。
市場は楽観ムードに包まれていても、水面下で景気悪化のサインが出ていないか注意深く観察することが重要です。
AIブームなどで一部のハイテク企業は好調に見えるかもしれません。
しかし、その裏でクレジットカードの延滞率の上昇や、中小企業の求人数の減少といった指標が悪化し始めると、米国の個人消費が急激に冷え込む可能性があります。
米国のGDPの約7割は個人消費が占めるため、このエンジンが止まれば景気後退は避けられません。
| 注目すべき景気後退の先行指標 |
|---|
| ISM製造業景気指数 |
| 消費者信頼感指数 |
| 長短金利差(逆イールド) |
| 新規失業保険申請件数 |
米国経済の失速は、世界的な需要の減少を意味します。
これは、日本を含む各国の輸出企業に大きな打撃を与え、投資家がリスク回避姿勢を強める「リスクオフ」の連鎖を引き起こします。
リスク4、中国の景気低迷とデフレ輸出の圧力
中国経済が抱える構造的な問題、特に深刻な不動産不況と過剰な生産能力は、2026年においても世界経済の大きな重しとなります。
国内需要が伸び悩む中、企業は活路を求めて海外市場へ目を向けます。
国内で売れ残った電気自動車(EV)や太陽光パネル、鉄鋼といった製品が、政府の補助金を受けて安い価格で海外市場に輸出される「デフレ輸出」が加速すると、世界中で価格競争が激化します。
この結果、日本や欧米の製造業は厳しい競争にさらされ、収益が大きく圧迫されることになります。
| デフレ輸出の影響を受けやすい主要産業 |
|---|
| 電気自動車(EV) |
| 太陽光パネル |
| 鉄鋼・アルミニウム |
| リチウムイオン電池 |
中国の景気動向は、世界の製造業の業績だけでなく、鉄鉱石や原油といった資源の需要にも直結します。
世界第2位の経済大国の停滞は、もはや対岸の火事ではありません。
リスク5、欧州の政治不安と経済成長の停滞
欧州では、エネルギー価格の高止まりや、各国での極右政党の台頭など、経済と政治の両面で多くの不安要素がくすぶっています。
ウクライナ情勢の長期化による影響も重くのしかかります。
ドイツやフランスといったEUの中心国で政治的な不安定性が高まると、欧州連合(EU)全体としての重要な政策決定が遅れたり、加盟国の財政規律が緩んだりする懸念が浮上します。
このような事態は、通貨ユーロの信認を揺るがし、金融市場の混乱を招きかねません。
| 欧州の主な政治・経済リスク |
|---|
| 政治の右傾化 |
| 財政問題 |
| エネルギー問題 |
| 景気停滞 |
世界経済における一大消費地であるユーロ圏の成長が停滞すれば、世界の需要を冷やす大きな要因となり、世界中の株式市場にとって重荷となります。
リスク6、長期化するロシア・ウクライナ情勢の新たな火種
ロシアによるウクライナ侵攻は終わりが見えず、戦況の膠着や予期せぬエスカレーションは依然として世界の大きな不安定要因です。
市場の関心が薄れた頃に、新たな火種が生まれる可能性は常にあります。
戦闘が再び激化し、黒海を通じたウクライナ産の穀物輸出が再び滞ったり、ロシアから欧州へのエネルギー供給網が破壊されたりする事態になれば、世界の食料・エネルギー価格が再び高騰するリスクがあります。
これは、世界的なインフレ再燃の引き金となりえます。
| この地政学リスクが波及する主な分野 |
|---|
| 食料安全保障 |
| エネルギー |
| サプライチェーン |
| 防衛・安全保障 |
目に見える戦闘だけでなく、重要な社会インフラを狙ったサイバー攻撃や偽情報の拡散といった「ハイブリッド戦争」の脅威も増しています。
こうした見えにくいリスクは、企業の事業継続計画にも深刻な影響を及ぼします。
リスク7、中東情勢の緊迫化とエネルギー供給ショック
中東地域は世界のエネルギー供給の心臓部であり、この地域の地政学的な緊張の高まりは、常に世界の原油価格を大きく左右する要因です。
2026年も、このリスクから目を離すことはできません。
例えば、イランとイスラエルの対立が激化し、世界の海上石油輸送の約3分の1が通過するホルムズ海峡が封鎖されるような事態になれば、世界のエネルギー供給に深刻な支障が生じ、原油価格はパニック的に急騰するでしょう。
| 中東リスクによる「負の連鎖」 |
|---|
| ①地政学リスクの高まり |
| ②原油価格の急騰 |
| ③世界的なインフレ再燃 |
| ④各国中央銀行による金融引き締め(利上げ) |
| ⑤世界景気の後退、株式市場の下落 |
原油価格の高騰は、ガソリン代や電気代の上昇を通じて私たちの生活を直撃するだけではありません。
企業の生産コストを増加させ、世界的なインフレを再燃させ、最終的には金融引き締めによる株価下落という連鎖を引き起こすため、株式市場にとっては強力な逆風となります。
リスク8、AI・半導体ブームの過熱と調整局面
現在の株式市場を力強く牽引しているAI・半導体セクターですが、その一方で、過度な期待が先行し、株価が実態や本来の価値を伴わない水準まで上昇している可能性には注意が必要です。
歴史を振り返ると、熱狂的なブームの後には、必ず調整局面が訪れます。
AI技術の収益化が市場の期待ほど早く進まなかったり、米中対立の激化によって最先端半導体の輸出規制がさらに強化されたりすると、市場の熱狂は一気に冷める可能性があります。
その場合、ブームを牽引してきたエヌビディアなどの大型株が急落し、相場全体の調整を引き起こすことになります。
| AI・半導体ブームに潜む注意点 |
|---|
| 過度な期待 |
| 規制強化 |
| 勝ち組への集中 |
| 設備投資の反動 |
特定のテーマに資金が集中する「一本足打法」の相場は、そのテーマが崩れたときに市場全体が大きく下落しやすいという脆弱性を抱えています。
このような状況では、分散投資の重要性が一層高まります。
リスク9、サプライチェーン再編がもたらすコスト増加
グローバルサプライチェーンとは、製品の部品調達から製造、販売までを、コストが最も安い国や地域を組み合わせて世界規模で行う供給網のことです。
しかし、近年この効率最優先の考え方は大きく見直されています。
米中対立や経済安全保障という新たな観点から、これまで生産拠点としてきた中国から、地政学リスクの低いベトナムやメキシコなど他の国へ工場を移転する「チャイナ・プラスワン」の動きが加速しています。
この生産拠点の再編には、多額の設備投資や新たな物流網の構築といったコストがかかります。
| サプライチェーン再編の影響を受けやすい業種 |
|---|
| 自動車産業 |
| 電子部品・半導体 |
| アパレル |
| 機械・設備 |
これらのコスト増加は、直接的に企業の利益率をじわじわと圧迫し、長期的に企業の株価の重しとなる可能性があります。
これは派手なニュースにはなりにくいですが、着実に企業収益を蝕むリスクです。
リスク10、食料・電力に直結する気候変動・災害
異常気象による大規模な干ばつや記録的な洪水といった気候変動リスクは、もはや遠い未来の話ではありません。
私たちの生活に直結するコストを押し上げる、現実的かつ深刻な経済リスクです。
例えば、世界的な穀倉地帯で大規模な干ばつが発生すれば、小麦やトウモロコシなどの穀物価格が高騰し、パンや飼料の値段が上がり、食料インフレを引き起こします。
また、記録的な猛暑による電力需要の急増や、水不足による水力発電所の機能停止は、電力価格の不安定化に直結します。
| 気候変動が引き起こす主な経済的リスク |
|---|
| 食料価格の高騰 |
| エネルギー価格の変動 |
| サプライチェーンの寸断 |
| 資産価値の毀損 |
これらのリスクは突発的に発生しますが、食料や電力といった経済活動の根幹をなすコストを押し上げます。
結果としてインフレ圧力となり、時には金融政策の方向性にも影響を与える無視できない要因です。
2026年の相場展開、考えられる3つのシナリオ
未来を正確に予測することはできませんが、起こりうる複数の展開をあらかじめ想定しておくことが、冷静な投資判断の土台になります。
ここでは2026年の相場展開として、経済は崩れないものの不安定な「基本シナリオ」、米国発の不安が世界に広がる「リスクオフシナリオ」、そして一部の分野だけが買われる「テーマ先行シナリオ」という、性質の異なる3つのパターンを解説します。
どのシナリオが現実になっても慌てないよう、それぞれの特徴とご自身の資産への影響をしっかり理解しておくことが重要です。
基本シナリオ、一進一退の展開が続く神経質な相場
これは、経済が大きく崩れることはないものの、政治や金融政策に関するニュースに市場が過敏に反応し、月単位で上昇と下落を繰り返す不安定な相場を指します。
例えば、米国のインフレ率が市場予想からわずか0.1%ずれるだけで株価が大きく変動したり、政府要人の発言一つで為替が乱高下したりする場面が増加します。
企業業績は底堅いため、S&P500のような株価指数は年間を通してみれば横ばいか、ゆるやかな上昇にとどまる展開が考えられます。
| 資産クラス | 想定される値動き | 投資家の心理 |
|---|---|---|
| 世界の株式 | 高い変動率を伴いながらも一定の範囲内での動き | 短期的なニュースに一喜一憂 |
| 為替(ドル円) | 1ドル140円〜160円といった広い範囲での推移 | 方向感が見えにくく取引が困難 |
| 米国長期金利 | 経済指標の発表ごとに上下し、方向性が定まらない | 金融政策の先読みが難しい |
| コモディティ(金) | 地政学リスクの高まりで一時的に上昇 | 不安感から安全資産への逃避買い |
このシナリオでは、焦って高値追いをせず、相場が下がった局面でコツコツと買い増していくような、長期的な視点での投資が有効になります。
リスクオフシナリオ、米国起点の不安が世界へ連鎖する展開
リスクオフとは、投資家がリスクを避けるために株式などの資産を売り、現金や質の高い債券といった安全とされる資産へ資金を移動させる動きのことです。
例えば、「リスク1」で挙げた米国の政治不安が深刻化し、追加関税や厳しい規制強化が現実味を帯びると、NYダウが1日で1,000ドル以上下落するといった事態も起こりえます。
この影響は当然日本市場にも波及し、日経平均株価も連動して大きく値を下げる展開となるでしょう。
| 資産クラス | 想定される値動き | 投資家の取るべき行動 |
|---|---|---|
| 世界の株式 | 全面的な下落(10%以上の調整も視野に) | 現金比率を高め、次の買い場を待つ |
| 為替(ドル円) | 局面により円高にも円安にも振れる可能性 | 通貨の分散で為替変動リスクを低減 |
| 米国長期金利 | 景気後退への懸念から低下(債券価格は上昇) | 質の高い国債への資金逃避が発生 |
| コモディティ(金) | 安全資産として買われ、価格が上昇 | ポートフォリオの保険として機能 |
このような局面では、恐怖心から相場の底値圏で売却してしまう「狼狽売り」を避け、事前に決めておいた自分自身のルールに従って冷静に行動することが、資産を守る上で最も重要な鍵となります。
テーマ先行シナリオ、一部の分野に資金が集中する二極化相場
これは、株式市場全体としては方向感に欠ける中で、AI・半導体、防衛、エネルギーといった特定のテーマに関連する銘柄にだけ投資資金が集中し、それ以外の多くの銘柄は停滞する「二極化」が進む相場です。
2023年に見られたNVIDIAをはじめとする半導体関連株への熱狂的な資金集中が、2026年には防衛関連や資源関連といった別のテーマで再現される可能性があります。
TOPIXなどの市場全体の指数が横ばいで推移していても、特定の防衛関連企業の株価だけが数ヶ月で2倍になる、といった現象が起こりえます。
| 市場の特徴 | 具体的な現象 | 投資家の注意点 |
|---|---|---|
| 資金の集中 | AI、半導体、防衛、資源などの特定分野 | ポートフォリオの過度な偏り |
| 指数の停滞 | TOPIXやS&P500などの全体指数は横ばい圏 | インデックス投資だけでは利益が出にくい |
| 銘柄の選別 | 同じ業種内でも勝ち組と負け組が鮮明になる | 個別株投資の難易度が上昇 |
| 過熱と急落 | 人気テーマは過度に買われ、反動で急落しやすい | 高値掴みを避ける冷静な判断力 |
この相場では、成長テーマにうまく乗ることで大きな利益を狙えますが、その一方でブームの終焉による急落リスクも常に隣り合わせです。
そのため、テーマ投資は資産の一部に限定するなど、リスク管理を徹底することが不可欠です。
投資家が今日からできる資産を守るための5つの実践ルール
2026年のように予測が難しい相場環境で資産を守り抜くためには、未来を当てることではなく、どんな状況にも耐えられる「守りの仕組み」を事前に構築しておくことが最も重要です。
ここでは、米国偏重の見直しから売買ルールの事前設定に至るまで、投資家のみなさんが今日から実践できる5つの具体的なルールを解説します。
| ルール | 目的 |
|---|---|
| ルール1、米国偏重を見直す資産配分の設計 | 特定国への集中リスクを緩和し、ポートフォリオ全体の安定性を向上 |
| ルール2、特定のテーマ投資に対する上限設定 | 値動きの激しい分野への過度な投資を避け、資産全体のリスクを管理 |
| ルール3、「暴落時の武器」となる現金比率の確保 | 市場下落時に優良資産を買い増す余力を持ち、心理的な安定を確保 |
| ルール4、円やドルに偏らない通貨分散の実践 | 為替変動による資産価値の目減りを防ぎ、通貨リスクを低減 |
| ルール5、感情に流されないための売買ルールの事前設定 | 市場の急変時にも冷静な判断を維持し、一貫性のある投資行動を継続 |
これらのルールを自分なりに実践することで、市場の急な変動に動揺することなく、長期的な視点で資産形成を続けるための強固な土台を築くことができます。
ルール1、米国偏重を見直す資産配分の設計
資産配分(アセットアロケーション)とは、ご自身の資産を株式や債券など、異なる値動きをする複数の投資先に振り分ける基本的な戦略です。
特に米国株式は世界の市場を牽引してきましたが、その分、米国の政治・経済リスクの影響を直接的に受けます。
例えば、NISA口座の大部分をS&P500連動の投資信託が占めている場合、ポートフォリオの7割以上が米国に集中している可能性があります。
この集中度を和らげるために、日本株式や米国を除く先進国株式、あるいは金(ゴールド)といった異なる資産を組み入れることを検討しましょう。
| 資産クラス | 組み入れによる効果 | 具体的な投資対象例 |
|---|---|---|
| 日本株式 | 円資産の確保、国内景気の恩恵 | TOPIXや日経平均に連動するインデックスファンド |
| 米国を除く先進国株式 | 米国以外の成長を取り込み、地域分散を促進 | MSCIコクサイ・インデックス(日本を除く)連動ファンド |
| 新興国株式 | 高い成長ポテンシャル、先進国と異なる値動き | MSCIエマージング・マーケット・インデックス連動ファンド |
| 金(ゴールド) | インフレや地政学リスクへの耐性、株式との相関が低い | 金価格に連動するETFや投資信託 |
米国市場が停滞する局面でも、他の資産がポートフォリオ全体を支えることで、より安定したリターンを目指せます。
まずはご自身の資産がどの国・地域にどれだけ投資されているかを確認することから始めてみてください。
ルール2、特定のテーマ投資に対する上限設定
テーマ投資とは、AI、半導体、再生可能エネルギーといった、将来の成長が期待される特定の分野に関連する企業群へ集中的に投資する手法です。
大きなリターンを狙える魅力がある一方で、市場の期待が先行しやすく、株価の変動が非常に大きくなる傾向にあります。
そこで、こうしたテーマ投資に振り分ける資金は、ご自身の金融資産全体の5%から10%以内に収める、といった明確な上限ルールを設けることをお勧めします。
資産の中核は、全世界株式やS&P500のような幅広く分散されたインデックスファンドで固め、テーマ投資はあくまで補助的な「サテライト」として位置づけるのが賢明です。
| 投資戦略 | 役割 | 資産に占める割合の目安 |
|---|---|---|
| コア戦略 | 資産形成の土台となる安定的・長期的な運用 | 90%〜95% |
| サテライト戦略 | コア戦略を補完し、より高いリターンを狙う運用 | 5%〜10% |
資産全体の大部分を安定的な運用で守りながら、一部の資金で未来の成長を狙うことで、リスクを管理しつつリターン向上の可能性を追求できます。
ルール3、「暴落時の武器」となる現金比率の確保
投資における現金(待機資金)は、守りのためだけにあるのではありません。
市場が悲観に包まれ、多くの資産が大きく値を下げる「暴落時」に、優良な資産を安値で仕込むための最も強力な「攻撃の武器」となります。
日々の生活費とは別に、投資用資金のうち10%から20%程度を目安として現金で保有しておくことで、市場の急落を「絶好の買い場」と捉える心理的な余裕が生まれます。
この待機資金があるかないかで、暴落時の行動は大きく変わるのです。
| 現金比率 | 暴落時の心理状態と行動 |
|---|---|
| 低い(ほぼ全額投資) | 評価損の拡大に恐怖を感じ、狼狽売りをしてしまう可能性 |
| 適切(10〜20%確保) | 「安く買えるチャンス」と冷静に捉え、計画的な買い増しが可能 |
株式相場が大きく下落する局面は、長期的に見れば資産を大きく増やすチャンスです。
その貴重な機会を最大限に活かすためにも、ポートフォリオに常に一定の現金を組み込んでおくことを意識しましょう。
ルール4、円やドルに偏らない通貨分散の実践
通貨分散とは、資産を日本円だけでなく、米ドルやユーロなど複数の通貨建てで保有することで、為替レートの変動が資産価値に与える影響を和らげる考え方です。
円資産しか保有していない場合、円安が進むと輸入品の価格上昇などを通じて実質的な資産価値は下がります。
逆に、ドル資産に偏りすぎていると、円高局面で資産が目減りします。
この対策として、例えば海外資産に投資する投資信託を選ぶ際に、為替変動のリスクを低減する「為替ヘッジあり」のファンドと、為替変動によるリターンも追求する「為替ヘッジなし」のファンドを組み合わせる方法が有効です。
| 為替相場の局面 | 為替ヘッジ「あり」ファンドの損益 | 為替ヘッジ「なし」ファンドの損益 |
|---|---|---|
| 円安ドル高 | 為替差益は得られない | 為替差益が上乗せされる |
| 円高ドル安 | 為替差損を回避できる | 為替差損が発生する |
将来の為替レートを正確に予測することは専門家でも困難です。
だからこそ、資産を複数の通貨に分散させておくことが、為替リスクに対する最も合理的で効果的な備えとなります。
ルール5、感情に流されないための売買ルールの事前設定
株価が急騰・急落する局面では、「乗り遅れたくない」という焦りや、「これ以上損をしたくない」という恐怖心から、多くの人が冷静な判断力を失いがちです。
こうした感情に振り回された取引を防ぐために最も効果的なのが、冷静なうちに具体的な数値で売買ルールを決めておくことです。
事前に決めた客観的なルールが、市場の混乱期においてみなさんの判断の拠り所となります。
相場が穏やかな今だからこそ、ご自身の投資戦略に基づいた売買ルールを明確に設定しておきましょう。
まとめ
この記事では、2026年に投資家が監視すべき10のリスクを整理し、資産配分・通貨分散・現金比率・売買ルールという具体的な備えについて解説しました。
重要な点は、2026年の最大リスクは米国起点の不確実性であるです。
- 米国起点の不確実性
- 資産配分の見直し
- 通貨分散と現金比率の確保
- 売買ルールの事前設定
まず保有資産の国別比率と現金比率を確認し、この記事で示したルールを基準にポートフォリオを段階的に見直していくことです。
なお、分散投資は「地域や資産の種類を分ける」だけでなく、運用のやり方自体を分けるのも立派なリスク管理です。
たとえば、インデックス投資を中心にしつつ、相場対応に強い戦略を取り入れたい方は、国内ヘッジファンドを活用するという選択肢もあります。
「自分で判断するとブレる」「暴落時に怖くて売ってしまう」という方ほど、ルール運用に強いサービスを一部組み込むだけで投資が続けやすくなります。
参考記事:厳選比較!! おすすめ投資信託・ファンドランキング
