市場の先行きが不透明な今、注目を集めているのが高配当バリュー株です。値動きの激しい成長株とは異なり、安定した利益と配当収入を期待できるため、堅実な資産形成を目指す投資家にとって魅力的な選択肢となっています。本記事では、最新の注目すべき割安で高利回りの5銘柄を厳選し、それぞれの投資価値を詳しく解説します。
なぜ今「高配当バリュー株」なのか
2025年に入ってからの株式市場は、海外経済や金融政策、為替などの影響により不安定な動きを見せています。日経平均は一時3万6,000円を割り込み、直近の上値の重さが意識される展開が続いています。こうした状況では、キャピタルゲイン狙いの成長株よりも、配当という“確実なリターン”が得られる銘柄への注目度が高まります。
高配当バリュー株は、企業の本質的な価値に対して株価が割安で、なおかつ高い配当利回りを実現している銘柄です。株価が割安な分、下値のリスクも限定的であり、配当収入を得ながら中長期でのリバウンドも期待できます。
配当利回り5選に入る企業は、堅実な業績、安定したキャッシュフロー、そして株主還元を重視した方針を掲げており、外部環境の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持っています。
高配当バリュー株5選(2025年3月25日時点)
以下は、注目の配当利回り5選です。いずれも5%超という高水準の利回りを誇り、安定した財務基盤と企業価値を持つバリュー株です。
【高配当利回りランキング上位銘柄】
※株価は、3月25日時点。
コード | 銘柄名 | 株価 | 配当利回り |
---|---|---|---|
6481 | THK | 3,817円 | 6.52% |
9104 | 商船三井 | 5,492円 | 6.16% |
1890 | 東洋建設 | 1,367円 | 5.90% |
7148 | FPG | 2,440円 | 5.40% |
1885 | 東亜建設工業 | 1,386円 | 5.12% |
【銘柄①】THK(6481)
配当利回り:6.52%
THKは、産業機械や自動車関連で使用される直動案内機器のリーディングカンパニー。2024年12月期の配当方針をDOE(株主資本配当率)8%に変更したことが好感され、投資家の注目が集まっています。
業績に応じて安定的に配当が支払われる体制となっており、長期保有でのリターンが期待できます。
【銘柄②】商船三井(9104)
配当利回り:6.16%
海運大手の商船三井は、LNG船・自動車船など幅広い輸送に対応する総合物流企業。第3四半期決算で配当計画を上方修正し、会社予想ベースでは配当利回りが6.2%に上昇。
脱炭素対応やLNG燃料船など先進的な取り組みも進めており、今後の収益多角化が期待されます。株主還元にも積極的で、減配リスクが低い点も長期投資に適しています。
【銘柄③】東洋建設(1890)
配当利回り:5.90%
海洋土木に強みを持つ建設会社。港湾や防災インフラの需要が堅調で、公共事業の安定受注が業績を支えています。
建設業界の中でも利益率が高く、配当利回り5.90%という高水準を誇ります。今後も防災・減災需要が続く中、財務体質の健全さと事業の持続性から、配当の安定性が見込まれます。
【銘柄④】FPG(7148)
配当利回り:5.40%
航空機・船舶リースに特化した独自のビジネスモデルで、資産家向け税制対応商品の分野で高収益を実現。業績安定とともに、配当性向も高く、利回り5.40%は魅力的。
加えてM&A仲介や資産承継サービスなど事業領域を広げており、今後の成長余地も大きい。ニッチ戦略を武器に、長期で高配当を維持できる見込みです。
【銘柄⑤】東亜建設工業(1885)
配当利回り:5.12%
耐震・海洋土木工事に強みを持つ老舗建設会社。年間配当金を54円→71円へ引き上げたことで注目度が上昇。
地震対策や老朽インフラ更新需要を取り込む形で、受注は安定的。企業体質の改善も進んでおり、今後も安定配当が期待されます。
買うタイミングと長期保有の戦略
ここまで、注目銘柄をご紹介してきましたが、銘柄選定と同じくらい重要なのが、「いつ、どう買うか」という投資のタイミングと戦略です。
高配当株投資の基本は、株価が割安なタイミングで買い、長期で保有しながら配当を受け取ることです。短期の値上がり益(キャピタルゲイン)を狙うというよりは、数年にわたり安定したインカムゲインを得ることを目的とした“守りの投資”が主流です。
一方で、「権利確定日前に買って、配当をもらってすぐ売る」といった短期的な配当狙いの戦略も一部に見られます。しかしこの方法には注意が必要です。多くの場合、権利付き最終日の翌日(権利落ち日)には株価が配当金分以上に下落することもあり、トータルでは損をする可能性があります。配当だけを取って去る、という考え方は、安定的な資産形成とは相性が悪いのです。
また、2024年から始まった新NISA(成長投資枠)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用することで、高配当株から得られる配当金を“非課税”で受け取ることが可能です。とくに長期保有が前提のNISAやiDeCoは、高配当株との相性が抜群で、税引き後の手取りリターンを大きく高めることができます。
制度を賢く使えば、受け取れる配当金の効率はさらにアップします。長期的な資産形成を目指すなら、「銘柄選び+買うタイミング+非課税制度活用」という3つの軸で戦略を立てることが、着実な成果に繋がるのです。
以下のリンクでは、戦略的な買い方を実践するうえで、プロの投資家がどのような視点で銘柄を選んでいるのかを知っておくことも大きなヒントになります。以下の過去記事では、実際にプロ投資家が重視している「買い続ける銘柄の7つの条件」を詳しく解説しており、高配当株選びにも応用可能です。
投資リスクと分散投資の重要性
高配当バリュー株は、安定した配当収入を期待できる一方で、株式投資である以上、リスクが完全にゼロになることはありません。企業業績の悪化や業界全体の逆風によって減配・無配となる可能性もあります。また、金利の急激な変動や政策リスク、為替の影響など、外部環境によって株価が大きく動く局面も想定されます。
だからこそ重要になるのが、「分散投資」という考え方です。資産を特定の企業や業種に偏らせず、複数の銘柄や商品に分けて投資することで、リスクを抑えながらリターンを安定させることが可能になります。
特に高配当株に投資する際は、業種の分散も大切です。今回紹介した銘柄も、海運(商船三井)、建設(土木系2社)、製造業(THK)、金融(FPG)と業種が異なります。これにより、特定業界の不振がポートフォリオ全体に与える影響を小さくできます。
さらに、株式だけに依存しない資産構成も、中長期的な安定運用には不可欠です。株式に加えて投資信託や債券、不動産などを組み合わせることで、市場の変動に強いポートフォリオを構築できます。
中でも投資信託は、少額からでも分散投資を実現できる便利な金融商品です。自分で個別銘柄を選ぶのが難しいという方にとっては、プロの運用を活用しつつ広範囲に資産を分散できる魅力的な手段といえるでしょう。
もしこれから投資信託を検討する場合には、信頼性のある情報源でしっかり比較検討することが大切です。以下のリンクでは、投資信託・ファンドの最新おすすめランキングを紹介しています。目的やリスク許容度に応じて、自分に合った商品を選ぶ参考にしてみてください。
高配当株を軸とした運用に、投資信託を組み合わせることで、収益性と安定性のバランスが取れた戦略を構築できるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した銘柄は、単なる高配当だけでなく、企業としての安定性や成長性も併せ持つことが重要です。ご紹介した5社は、そのすべてを兼ね備えた本物の高配当バリュー株であり、不安定な相場でも頼れる存在です。
長期的な資産形成を見据えるなら、配当を受け取りながら資産を守り増やす戦略は有効です。今後も、企業の配当方針、業績の動向に注目しながら、実力派の高配当銘柄を見極めていきましょう。